分水嶺 BUNNSUIREI

クライミングと山、森に遊ぶ日々の記録です。

甲府幕岩 パストラル 5/15

時はさかのぼりますが、先月も甲府幕岩に行っていました。

この時が一番調子が良かった気がします。

3便でパストラル(5.12a)をレッドポイントできました。

多分S君の“リラックス!” “もういけるでしょ!”の後押しの声が無ければ

登り切れなかったと思います。

S君もクライミングは久しぶりなのに、パストラルを3便でRPしていました。
さすがはMr.積み重ねです。
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核心部を登るS君

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核心部を越えたS君


一方O君はとなりのシルキーにトライ。
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このルートはリーチがカギになるようです。
結構O君苦労していました。

この頃の甲府幕岩は気温も湿度も調度良かったです。

それにしても幕岩近辺の木々の美しい事といったら。。。 


幕岩に行く途中の林道で大量伐採されているのは何のためなのでしょう? 摩訶不思議。

久しぶりに快復の森へ

僕の癒しの泉、快復の森カイロプラクティックに行ってきました。

現在一番の悩みの種は背中痛です。 1ケ月近く通院していなかったので、相当たまっていました。

あぁ~気持ちイカッタ。

今日はドクター中尾と記念写真も撮ってもらっちゃいました。

アップされるのが楽しみです。



ところでブログの名前、“文粋嶺”ですが、しばらく考えた後、辞書通りの“分水嶺”に変更しました。

ブログ開設当初は、粋な嶺の文を書いてやろうという思い上がった事を考えていましたが、

大した文章も書けず、芥川賞を狙っているわけでもないので、やはりここは分水嶺にしようと思った

次第です。今後ともよろしくお願いします。



さて明後日は群馬県の有笠山にクライミングをしに行きます。

1年半ぶりの有笠は今から楽しみです。

甲府幕岩

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昨日は太刀岡山に行く予定を、寸前で変更して甲府幕岩に行ってきました。
甲府の最高気温予測が26℃だったので、太刀岡はあついだろうな~ということで。

もう何回も行っているのに幕岩への林道まちがっちゃいました。

観音峠経由の林道は通行可能です。ただし2ヵ所ほど土砂崩れが道路の半分を埋めていました。

半月ほど前に行った時はなかったものなので、最近崩落したのだと思います。どうぞお気をつけて。


今日は僕らだけの貸し切り。

山椒王国に陣取り、まずは“森であそぼう”でウォーミングアップ。
難度登っても何かうまいムーブが見つからないルートです。

次に“シルキー”にトライ。
1便目は残念ながら中間部のガバを掴む前にテンションしてしまいました。

その間に相棒のKは“パストラル”にトライ開始。

もうボロボロで何度もリソールした5.10の5X 。よく彼はあの靴で登るものです。 道具より技術と力が大事なんだなと、彼のビレイをしながら考えさせられました。
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僕とのリーチ差は多分30cmぐらいあるのに、出だしの核心からリーチいっぱい使って左手のカチをしっかりキャッチ。しかしその後が繋がらず。


僕は再び“シルキー”にトライし、何とかレッドポイント。


Kくんは3便目で見事“パストラル”をRPしました。 大した野郎です。

僕は半月のクライミングのブランクがありながら、無謀にも”スモーキーマウンテン”にチャレンジしました。

完全に各駅停車です。結局ボルト3本ぐらいの所で疲れて一度ロワーダウン。

二便目の“スモーキーマウンテン”、ボルト4本目まではトップロープ状態で登りました。4本目までは何とかテンションなしで行けましたが、このムーブじゃ力を消耗しすぎてしまいます。もう少し練らなくてはなりません。


結局身も心もボロボロになり、“シルキー”の終了点にトラバースして涙の撤退。


その後はワークアウトで“山椒は辛い”と“森からのおくりもの”を登りました。
“山椒は辛い”は本当に辛かったです。パンプした全身には相当難しく感じました。
“森からのおくりもの”も途中でテンションを入れてしまいました。

このまま帰るのは忍びないので、“森からのおくりもの”をもう一度綺麗に登って、

今日のクライミングを終えました。

それにしても幕岩周辺の緑は素敵ですね。 取付から新緑の葉が覆う空を眺めているだけで
幸せになれました。


唐沢岳幕岩 大凹角ルート ようやく完登

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午前4時に起き、5時20分に歩き出す。

寝不足が明らかに影響していて、まっすぐ歩けないぐらいふらふらしてきた。

そして踵が痛い。まだ治りきっていなかった。冬靴を履いた時、片足のインソールを家に忘れた事に気付いたが、怪我をしている側の足でなくて幸いだった。


かかとに体重をかけないように歩いている為、どうしても歩く速度が上がらない。H師ははるか林道の先に消えてしまった。


  *  *  *


高瀬ダムまで2時間ちょっとかかってしまった。ここから先は雪道なので踵にはやさしい。


大町の宿は少し込んでいたので、雪の斜面を下りきった所にあるボルダーの陰にテントを張った。 雪崩の来る状況だったら、間違えなく危険な場所ではあるが、広くて快適。 50m下には流水が豊富に出ており、水補給には苦労しない。


時をほとんど同じくして3名パーティが大凹角にとりついていたので、僕らは少しゆっくり寛ぐことにした。


僕らの登攀開始時刻はおよそ13時半。 1ピッチ目は僕がリード。でだしの凹角からなかなかの手ごたえで、アブミを使用して這い上がる。 60mロープなので洞穴ハングまで1ピッチで行けるが、先行パーティがいた為、一度洞穴の手前10mの灌木でピッチを切る。
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2ピッチ目はH師リード。洞穴ハングを乗り越えるのが非常に難しそうだ。人工で何とか乗り越え、スラブに入る。


ガイドブックの言うとおり、ボルトラダーはほとんどが氷に埋まっていて、とても難儀するところだ。 ボサテラスより少し下の残置ボルトでピッチを切る。

僕はフォローの為、出だしの数手を除いては、思い切ってフリーで登ってみる事にした。

厚さ2cmぐらいの氷がスラブに張り付いていて、とても緊張する。だが所々に草付があるため、何とかフリーでスラブを登る事ができた。


すでに時刻は5時半頃で今日はここでやめにして、ロープをフィックスし、2ピッチの懸垂下降で下に戻った。


今夜の僕のご飯はサタケのピラフとバナナチップと、それに八橋(焼いたもの)にベビースター濃厚焼そば味。いつもと変わらぬ食糧だが、何故か満足。


食後にチャイを飲む。 H師は8,000m峰に何度も登っている経験からか、本当によく水分を取る。寝るまでに鍋いっぱいのカフェオレやスポーツドリンクのホット等を飲んでいた。



   *  *  *


翌日3時起床。風はあるが星空が広がっている。今日こそは掴みたい。ルート完登を!

4時半にBCを出発して、30分で大凹角取り付きへ。
すぐにユマーリングを開始する。2ピッチのユマーリング。およそ80~90mぐらいの高度を稼ぐ。あっというまに体が温まった。
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前日の終了点で二人集結して、6時17分3ピッチ目の登攀を開始する。

リードは僕。 出だしにワートホッグを刺してまず1個目のプロテクションを確保。 

右斜めに登って行き、少し氷の厚い所を登って行く。 


今日はできうる限りプロテクションは自分でセットする事を目標にした。

2個目のプロテクションは10cmのアイススクリュー。途中までしか入らないのでスリングでタイオフする。


それから斜め左に折れて、ルンゼ内に登攀路を見出して行く。 途中の岩のリスにピトンを1本打ちこむ。それから少し急で氷の詰まったV字ガリーを登る。

氷はスカスカでプロテクションはとれない。少し緊張した。慎重に手足を捌いて何とか乗り越える。緩傾斜帯に入る辺りでロープが60mいっぱいになり、灌木でピッチを切った。


4ピッチ目はH師リード。広い中央バンドの右端をまっすぐに登っていく。大凹角の上部壁がどんどん迫って来た。60mいっぱい登って、再び灌木でピッチを切る。


5ピッチ目は僕がリード。いよいよ上部壁の凹角に突入する。最初はアックスのきかない雪が詰まったチムニーを、長い脚(これしか自慢できるものがないので遠慮なく(笑))でステミングしながら上がっていく。


ガイドブックでは右壁を登っていくように書いてあったが、僕はその壁に、何か上に通じる物を感じなかった。 結局のところ非常に悪い登攀を強いられることになったのだが、左壁からハングを超す事にした。手袋をはめたりはずしたり。


使えるものは何でも使う。 手袋のままハンドジャム、フィストジャム。片手はアックスをふるって凍った土に手掛かりを得る。

しかし残念。フリーで越えるにはまだ技術が無さすぎた。諦めて人工登攀に切り替える。 さびたピトンに体重を預けるのは、あまりすきではない。 リンクカムとエイリアンを多用して、心の平穏を維持する。


ある程度まで登った所で右壁を見ると、目立つビレイポイントがあった。やはり通常は右壁から登ってくるようだ。 左壁は非常に悪かった。そして埃っぽい。膝も手袋も泥だらけになってしまった。約40m登った所でピッチを切る。錆びたボルトが信用仕切れないので、ピトンを打って補強する。


10時半頃、H師による最終ピッチ、6ピッチが始まった。クラシカルな人工登攀の壁。 朽ちたボルトに色あせた3mmスリングがぶら下がっている。 そしてやたらと2本目のボルトが遠い。

H師はまず背中側(左壁)にナッツをセットして1個目のプロテクションとし、ビレイポイントにかけたアブミで数段上がって1本目のボルトに体重を預ける。 

その数10cm右上にエイリアンをセットし、ロープをクリップする。

次に左上のフレアードクラック(奥が狭まって、手前が開いている割れ目)にエイリアンの青をセットして、アブミをかける。

そしてそれに体重をかけた途端にバチっという音とともにH師が僕の上に落ちてきた。

1個目のエイリアンがしっかり効いていたおかげで、墜落はしっかり止められた。 ダメージと言えば、僕の前腕にH師のアイゼンの爪がささったぐらい。 そんなに痛みはなかったが、念のため患部を見てみるが赤くなっているだけで異常なし。 H師も特にダメージはなし。CIMG0143


一呼吸置いてから、H師が再び人工で登り始めた。 先ほどエイリアンの青をセットしたフレアードクラックに、今度はリンクカムをセットした。これはしっかりきまっていた。そしてようやく2個目のリングボルトにアブミをかける。


彼がすこしずつ上に上がって行き、そのうち見えなくなっていった。

ロープは時々止まるが、中々順調に登攀は進んでいるようだ。


風が強い。 ビレイ用のパーカーは置いてきたので少し寒い。膝の屈伸などをしながら体を冷やさないようにする。

40mほどロープが延びた所で「ビレイ解除!」の掛け声がかかった。


(これが最後のピッチである事を願う)


僕はH師の苦闘を見てお腹いっぱいになっていたので、潔くユマーリングすることにした。


そして15分後。にこやかなH師の待つ、大凹角終了点に到達した。
二人で万歳をする。いい天気だ。 久々のルート完登にほっと溜息がでる。


しかし下降が終わるまでは握手はお預けだ。 右稜の灌木の中を歩き下って、最初の懸垂下降支点に到着。約25mの懸垂下降でしたのカモシカテラスにつく。そのまま懸垂下降を数メートルして2ピッチ目の懸垂支点に到着。


この頃から急に鼻水が止まらなくなり、くしゃみの連発が始まった。どうやら右稜には花粉がたくさん待ち受けているらしい。

下降ルンゼに入り、全部で6ピッチの懸垂下降にて、壁の基部に達した。生きた。 登った。 


まだあかるい内に降りて来られる登攀は久しぶりだ。
二人とも気分が良くて、テントサイトでお湯を沸かして、H師はラーメン、僕はチャイを片手に一服たしなんだ。
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それからの帰りは地獄の三丁目だった。アスファルトが踵に響く。そしてつま先に体重をかけて歩く。長い道のりだが仕方がない。


駐車場到着18時40分頃。 

「今の完登の喜びも、あっという間に時間が過ぎて、過去の事になってしまうんですね」と、あまり意味のない事を僕は言った。

中央本線の駅で降ろしてもらい、各駅停車で東京へ。帰宅は12時半だった。 鼻水とくしゃみが止まらない。
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